株式会社等の法人の破産手続きは、個人の破産手続とは異なるのでご説明します。
1 法人破産の手続
法人の自己破産は、通常、取締役会の決議を経たうえで行います。
法人の場合は、破産手続が終了すると法人格が消滅するため、残った借金を免除するための免責手続はありません。
2 代表者の自己破産も必要
また、法人代表者は、法人の借金の保証人となっていることが多く、代表者についても自己破産をしなければならないことが通常です。
3 破産管財人が選任されること(予納金の準備が必要なこと)
個人の破産手続では、債権者に分配できそうな財産がなく、破産法に規定されている免責不許可事由(借金を免除できない場合)に当たらない場合は、破産手続開始決定と同時に破産手続きが終了し(これを「同時廃止」といいます。)、約2か月後に免責決定が出され、借金が免除されることがほとんどです。
しかし、法人の場合は、これまでの事業取引や財産を調査する必要があるため、仮に現時点で財産がほとんどなかったとしても、同時廃止になりません。
裁判所は、法人の事業取引や財産調査のため、破産管財人を選任します。
破産管財人が選任される場合、裁判所に納める費用がかかり(これを「予納金」といいます。)、事業規模・債務総額等にもよりますが、目ぼしき財産がない場合でも、最低20万円は必要です。
また、代表者の自己破産も法人の自己破産と同時に申し立てることが多いですが、代表者個人の自己破産事件についても、同時廃止となることはなく、破産管財人が選任されますが、その予納金も別途準備が必要ですのでご注意ください。
4 破産手続開始決定後の流れ
破産手続開始決定後は、破産管財人が選任され、破産管財人が調査を行います。調査の結果、債権者に分配すべき財産があれば、売却する等して金銭に換え、債権者に配当する手続を行います。
これらの手続のため、破産手続が終了するまで数か月~1年を要します。破産手続が終了すると、法人は消滅します。
代表者については、破産手続終了後、免責手続を行いますが、免責手続は個人破産と違いはありません。