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任意後見制度の特徴ーメリット・デメリット

2017-12-04

弁護士の工藤です。

2017年10月25日で成年後見制度全般についてご紹介しましたが、今回は任意後見制度の特徴を紹介します。

任意後見制度は「今は元気だけど、もし将来判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。」というときの為に、あらかじめ本人と支援者の間で任意に契約を行う制度です。任意後見制度では、支援者は本人からお願いされた方がなります。

任意後見制度のメリットは、自分の身上監護(施設入所契約や介護サービス契約、賃貸借契約など)、財産管理(預貯金・不動産の管理など)を自分が任せたいと思う家族・専門家に確実に依頼することができる点です。自分の財産の管理や身上監護をどのように行ってほしいかを自分をよく知る人物に事前に伝え、お願いすることができるので、より本人の意思・意向が反映されることになります。

これに対し、法定後見では、家庭裁判所が後見人等を選任する権限があるため、必ずしも本人や家族が希望する人物が後見人等に選任されるわけではありません。むしろ、最近の運用では、利害関係のない専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士など)が選任される例が多くなっています。この点から、以前よりも任意後見へのニーズが高まっているといえるでしょう。

そして、法定後見(後見・補佐・補助)の場合は、本人の判断能力が低下してから申し立てられるため、選任された後見人等としても、本人の意思を把握しようと努めますが、本人の判断能力が低下していることから、本人の意思を十分に把握することができないこともあります。

任意後見・法定後見の関係は、遺言・遺産分割協議の関係に似ています。自分の意思をしっかりと反映させるという点で、遺言と任意後見は共通しており、今後は遺言だけでなく任意後見についてもさらに利用されることが予想されます。

 

任意後見制度のデメリットは法定後見よりも費用が高くなる可能性があることです。

法定後見の場合は、家庭裁判所が後見人等が選任し、必要がある場合には後見人等を監督するための後見人等監督人を選任しますが、任意後見の場合は、必ず任意後見監督人が選任され、任意後見人を監督することとなります。

そして、任意後見監督人は専門職が選任されることが多く、任意後見人の報酬を本人が負担しなければなりません。任意後見人に対して報酬を支払う契約内容の場合には、任意後見人・任意後見人双方の報酬を本人が負担しなければなりません。

そのほか、法定後見のうち後見の場合は、本人が行った契約を後見人が無条件で取り消すことができますが、任意後見ではそのような取消権はありませんので、消費者被害に頻繁に遭う高齢者・障害者を保護する場合には任意後見は法定後見より劣る部分があります。

 

成年後見制度について

2017-10-25

「祖父が亡くなって、父親と叔父が相続人となったが、父親が高齢による認知症のため遺産分割協議を行うことができない。」

「夫が交通事故に遭ってしまい、相手の保険会社から賠償の話が出ているが、夫は事故で脳を損傷してしまい、保険会社と損害賠償の交渉をすることができない。」

「知的障がいのある子どもの預金等の財産を管理していたが、子どもが成人後、定期預金を解約しようとしたら、金融機関から後見人をつけてほしいと言われた。」

 弁護士の工藤清史です。今日は成年後見制度についてお話しします。
 成年後見制度は2000年に施行された、比較的新しい制度です。冒頭の事例のように、病気、事故、障害等を理由に、自分でお金の管理や支払いが難しいという方の為に、その方に代わって成年後見人が契約手続きやお金の管理・支払等を行い、生活を支えるという制度です。
成年後見制度は、大きく分けると任意後見制度と法定後見制度の二つがあります。

 任意後見制度は「今は元気だけど、もし将来判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。」というときの為に、あらかじめ本人と支援者の間で任意に契約を行う制度です。任意後見制度では、支援者は本人からお願いされた方がなります。

 一方法定後見制度は、法律によって支援者を定める制度で、家庭裁判所から選任された人がなります。こちらは冒頭の事例のように、認知症等当事者の方の判断能力が不十分である場合に適用される制度であるため、任意後見制度のように契約によって依頼ができません。「誰になってほしい」と希望を伝えることはできますが、契約や財産管理の内容等が複雑である場合には、弁護士等の専門家が後見人に選任されることもあります。

 法定後見制度は「後見」「保佐」「補助」の三つに分かれており,判断能力程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。

 任意後見制度や法定後見制度のについての詳細や具体例は、今後のコラムでご紹介していきたいと思います。