1 手続の流れ
- 遺言書が存在しないことを確認
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を取集し、相続人を確定
- 被相続人の遺産を調査
- 相続人全員で遺産分割協議を行う
- (④で全員一致した場合)遺産分割協議書を作成し、印鑑証明書を添付する
- (④で全員一致がない場合)家庭裁判所へ遺産分割調停の申立てを行う
- (⑥で全員一致した場合)調停成立となり、調停調書が作成される
- (⑥で全員一致がない場合)審判へ移行→審判 審判書が作成される
- 遺産分割協議書、調停調書又は審判書のいずれかで遺産の名義変更手続を行う
2 法定相続人と法定相続分について(上記②)
法律で相続人となる方が決まっています(これを「法定相続人」といいます)。
被相続人の配偶者は必ず相続人となり(内縁は相続人とはなりません)、その他は第一順位が子、第二順位が父母、第三順位は兄弟姉妹となっており、先順位の者が存在する場合は、後順位の者は相続人となりません。
相続人の調査は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を収集する必要があります。
また、法律で相続する割合が決まっています(これを「法定相続分」といいます。)。
配偶者と子の場合は、それぞれ2分の1、配偶者と親の場合は、3分の2、3分の1の割合、配偶者と兄弟姉妹の場合は、4分の3、4分の1となります。
3 遺産の調査(上記③)
対象となる遺産を調査・確認します。
不動産の登記簿を取得したり、預貯金通帳を確認したりします。
金融機関に預金口座があったはずだが通帳が見当たらない場合は、相続人であれば、金融機関に対し、被相続人の預金口座の有無を照会することができます。
4 遺産分割協議(上記④)
遺産分割協議が成立するには、相続人全員の一致が必要であり、相続人の一人でも反対すれば成立しません。
なお、遺産分割協議においては、必ずしも法定相続分の割合で遺産を分ける必要はありません。
例えば、相続人が妻と子1名である場合、すべての遺産を妻が取得する内容でも有効に成立します。
5 遺産分割協議が成立した場合(上記⑤、⑨)
遺産分割協議が成立すると、その内容を証明するため、遺産分割協議書を作成することが通常です。
被相続人の遺産をどの相続人が取得するか記載し、最後に、相続人全員の住所・氏名を記載、実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
そして、遺産分割協議書(印鑑証明書付き)、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等・被相続人の住民票の除票といった書類を、法務局や金融機関に提出することで遺産の名義変更を行うことができます。
また、各機関で別途追加の書類の提出を求められることもありますのでご注意ください。
6 遺産分割協議がまとまらない場合(上記⑥から⑨)
遺産分割協議がまとまらない場合、各相続人は、家庭裁判所に対し、遺産分割調停の申立てをすることができます。
調停では、調停委員2名、裁判官1名が、間に入って話し合いを進めていきます。
相続人全員の一致があれば調停成立となります。調停が成立すると調停調書が作成され、この書類で遺産の名義変更を行うことができます。
調停においても相続人全員の一致ができない場合は、調停は不成立となり、審判へ移ります。
これは、裁判官が、一切の事情を考慮して遺産分割方法を決定するもので、民事訴訟の判決のようなものです。
2週間経過すると内容が確定します。
審判書(確定証明書付き)によって遺産の名義変更を行うことができます。