不倫の慰謝料請求のご相談の際、不倫（不貞）の慰謝料の相場がどの程度であるか、計算はどのように行われるかというご質問をよく受けます。
裁判例では、結婚破綻に関する双方の有責性の程度、婚姻期間、当事者の年齢、未成年子の有無、経済状態、財産分与による経済的充足があるか、離婚に至る一切の経過等を考慮して判断しており、どの要素でどのくらいの額を認めるかという客観的基準はありません。
一応の基準として以下のように説明する文献があります。
- 有責性が高いほど高い。
- 精神的苦痛や肉体的苦痛が激しいほど高い。
- 婚姻期間が長く、年齢が高いほど高い。
- 未成年子がいる方が、いない場合より高い。
- 有責配偶者に資力があり、社会的地位が高いほど高い。
- 無責の配偶者の資力がないほど高い。
- 財産分与による経済的充足がある場合に低い。
なお、過去に東京家庭裁判所で審理された離婚に伴う慰謝料請求の事例の一部を分析した文献によると、慰謝料の理由が不貞である場合に認められた平均額は２２３万円とのことです。
もっとも、慰謝料請求は、話し合いの段階で解決したり、訴訟をしても和解により終了することのほうが多く、上記統計は、数多く存在する慰謝料請求額のあくまで一部にすぎません。
したがって、実際には、１００万円未満の事案もありますし、３００万円を上回る事案もあります。
したがって、不倫の慰謝料の「相場」や「計算式」を述べることは困難で、一言に不倫といっても様々ケースが考えられますので、まずは弁護士にご相談されると良いでしょう。
