個人事業主の破産手続きは、給与所得者や無職の方の破産手続とは若干異なるのでご説明します。
1 破産管財人が選任されること(予納金の準備が必要)
個人の破産手続では、債権者に分配できそうな財産がなく、破産法に規定されている免責不許可事由(借金を免除できない場合)に当たらない場合は、破産手続開始決定と同時に破産手続きが終了し(これを「同時廃止」といいます。)、約2か月後に免責決定が出され、借金が免除されることがほとんどです。
しかし、個人事業主の場合は、これまでの事業取引の内容や事業用財産の有無を調査する必要があるため、仮に現時点で財産がほとんどなかったとしても、同時廃止にならないことが通常です。
裁判所は、個人事業主の事業取引の内容や財産調査のため、破産管財人を選任します。
破産管財人が選任される場合、裁判所に納める費用が別途必要となり(これを「予納金」といいます。)、事業規模にもよりますが、最低20万円は必要となります。
そして、予納金は、破産手続開始決定が出されてから速やかに納めなければならないため、上記金額を速やかに準備できない場合は、自己破産申立てをする前に積み立てを行う必要があります。
この結果、自己破産手続の開始が遅くなってしまうことがありますので注意が必要です。
2 破産手続開始決定後の流れ
破産手続開始決定後は、破産管財人が選任され、破産管財人が調査を行います。
調査の結果、債権者に分配すべき財産があれば、売却する等して金銭に換え、債権者へ配当する手続を行います。
これらの手続のため、破産手続が終了するまで数か月を要します。
破産手続が終了すると、免責手続を行いますが、免責手続は非事業者の個人破産と違いはありません。