成年後見制度について

「祖父が亡くなって、父親と叔父が相続人となったが、父親が高齢による認知症のため遺産分割協議を行うことができない。」

「夫が交通事故に遭ってしまい、相手の保険会社から賠償の話が出ているが、夫は事故で脳を損傷してしまい、保険会社と損害賠償の交渉をすることができない。」

「知的障がいのある子どもの預金等の財産を管理していたが、子どもが成人後、定期預金を解約しようとしたら、金融機関から後見人をつけてほしいと言われた。」

 弁護士の工藤清史です。今日は成年後見制度についてお話しします。
 成年後見制度は2000年に施行された、比較的新しい制度です。冒頭の事例のように、病気、事故、障害等を理由に、自分でお金の管理や支払いが難しいという方の為に、その方に代わって成年後見人が契約手続きやお金の管理・支払等を行い、生活を支えるという制度です。
成年後見制度は、大きく分けると任意後見制度と法定後見制度の二つがあります。

 任意後見制度は「今は元気だけど、もし将来判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。」というときの為に、あらかじめ本人と支援者の間で任意に契約を行う制度です。任意後見制度では、支援者は本人からお願いされた方がなります。

 一方法定後見制度は、法律によって支援者を定める制度で、家庭裁判所から選任された人がなります。こちらは冒頭の事例のように、認知症等当事者の方の判断能力が不十分である場合に適用される制度であるため、任意後見制度のように契約によって依頼ができません。「誰になってほしい」と希望を伝えることはできますが、契約や財産管理の内容等が複雑である場合には、弁護士等の専門家が後見人に選任されることもあります。

 法定後見制度は「後見」「保佐」「補助」の三つに分かれており,判断能力程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。

 任意後見制度や法定後見制度のについての詳細や具体例は、今後のコラムでご紹介していきたいと思います。

 

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