Archive for the ‘弁護士’ Category

「弁護士会ウィーク~弁護士を身近に感じる1週間~」のご案内

2018-01-25

弁護士の工藤です。本日は仙台弁護士会が開催するイベントをご紹介します。
仙台弁護士会のホームページを開くと、現在このような画面が出てきます。

1月29日(月)~2月4日(日)までの間、“弁護士会ウィーク”と題して、一週間日替わりで様々なイベントが催されます。
イベント当日だけでなく企画・広報の段階から弁護士の手作りで、チラシに登場する男の子と女の子が手を繋いでいるイラストや、節々に出てくる仙台弁護士会会長のイラストも弁護士が作成しています。

また、弁護士会ウィークのPR動画に出演する方々も全員弁護士です。
※工藤は映っていません。

名前の通り“弁護士を身近に感じる1週間”をモットーにしたイベントですので、気になるイベントがありましたらお気軽にご参加ください。

任意後見制度の特徴ーメリット・デメリット

2017-12-04

弁護士の工藤です。

2017年10月25日で成年後見制度全般についてご紹介しましたが、今回は任意後見制度の特徴を紹介します。

任意後見制度は「今は元気だけど、もし将来判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。」というときの為に、あらかじめ本人と支援者の間で任意に契約を行う制度です。任意後見制度では、支援者は本人からお願いされた方がなります。

任意後見制度のメリットは、自分の身上監護(施設入所契約や介護サービス契約、賃貸借契約など)、財産管理(預貯金・不動産の管理など)を自分が任せたいと思う家族・専門家に確実に依頼することができる点です。自分の財産の管理や身上監護をどのように行ってほしいかを自分をよく知る人物に事前に伝え、お願いすることができるので、より本人の意思・意向が反映されることになります。

これに対し、法定後見では、家庭裁判所が後見人等を選任する権限があるため、必ずしも本人や家族が希望する人物が後見人等に選任されるわけではありません。むしろ、最近の運用では、利害関係のない専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士など)が選任される例が多くなっています。この点から、以前よりも任意後見へのニーズが高まっているといえるでしょう。

そして、法定後見(後見・補佐・補助)の場合は、本人の判断能力が低下してから申し立てられるため、選任された後見人等としても、本人の意思を把握しようと努めますが、本人の判断能力が低下していることから、本人の意思を十分に把握することができないこともあります。

任意後見・法定後見の関係は、遺言・遺産分割協議の関係に似ています。自分の意思をしっかりと反映させるという点で、遺言と任意後見は共通しており、今後は遺言だけでなく任意後見についてもさらに利用されることが予想されます。

 

任意後見制度のデメリットは法定後見よりも費用が高くなる可能性があることです。

法定後見の場合は、家庭裁判所が後見人等が選任し、必要がある場合には後見人等を監督するための後見人等監督人を選任しますが、任意後見の場合は、必ず任意後見監督人が選任され、任意後見人を監督することとなります。

そして、任意後見監督人は専門職が選任されることが多く、任意後見人の報酬を本人が負担しなければなりません。任意後見人に対して報酬を支払う契約内容の場合には、任意後見人・任意後見人双方の報酬を本人が負担しなければなりません。

そのほか、法定後見のうち後見の場合は、本人が行った契約を後見人が無条件で取り消すことができますが、任意後見ではそのような取消権はありませんので、消費者被害に頻繁に遭う高齢者・障害者を保護する場合には任意後見は法定後見より劣る部分があります。

 

成年後見制度について

2017-10-25

「祖父が亡くなって、父親と叔父が相続人となったが、父親が高齢による認知症のため遺産分割協議を行うことができない。」

「夫が交通事故に遭ってしまい、相手の保険会社から賠償の話が出ているが、夫は事故で脳を損傷してしまい、保険会社と損害賠償の交渉をすることができない。」

「知的障がいのある子どもの預金等の財産を管理していたが、子どもが成人後、定期預金を解約しようとしたら、金融機関から後見人をつけてほしいと言われた。」

 弁護士の工藤清史です。今日は成年後見制度についてお話しします。
 成年後見制度は2000年に施行された、比較的新しい制度です。冒頭の事例のように、病気、事故、障害等を理由に、自分でお金の管理や支払いが難しいという方の為に、その方に代わって成年後見人が契約手続きやお金の管理・支払等を行い、生活を支えるという制度です。
成年後見制度は、大きく分けると任意後見制度と法定後見制度の二つがあります。

 任意後見制度は「今は元気だけど、もし将来判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。」というときの為に、あらかじめ本人と支援者の間で任意に契約を行う制度です。任意後見制度では、支援者は本人からお願いされた方がなります。

 一方法定後見制度は、法律によって支援者を定める制度で、家庭裁判所から選任された人がなります。こちらは冒頭の事例のように、認知症等当事者の方の判断能力が不十分である場合に適用される制度であるため、任意後見制度のように契約によって依頼ができません。「誰になってほしい」と希望を伝えることはできますが、契約や財産管理の内容等が複雑である場合には、弁護士等の専門家が後見人に選任されることもあります。

 法定後見制度は「後見」「保佐」「補助」の三つに分かれており,判断能力程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。

 任意後見制度や法定後見制度のについての詳細や具体例は、今後のコラムでご紹介していきたいと思います。

民事裁判IT化推進へ

2017-08-31

弁護士の工藤です。

読売新聞に、民事裁判の訴訟手続きについて最高裁がIT化を推進する方針を固めたとの記事が掲載されていました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170830-OYT1T50068.html
今年6月に内閣で閣議決定された未来投資戦略2017においても、裁判手続のIT化の推進が盛り込まれています。

IT化の対象となる項目は以下の2点です。
①インターネットを通じた書面の提出
②テレビを使った審理の拡充

①について、現行の民事訴訟法では、裁判所に提出される書面は紙媒体で提出することとなっており、現状では持参・郵送・FAXなどの方法で裁判所に書面を提出しています。
しかしこの書面は時として膨大な量となることがあり、紙媒体での提出は訴訟当事者の大きな負担となっていました。
このような負担の軽減や紙媒体を使わないことによる経費削減の観点から、インターネットを通じた書面提出が推進されることとなりました。
ドイツにおいては「裁判所から紙が消える日が近づいている」とも言われており、2022年1月までに裁判所に提出される書面は全て電子化されるとのことです。

②について、現状では当事者や証人がすべて裁判所に集まって審理を行うことが原則となっています。裁判は平日の日中に開かれるため、特に弁護士などの代理人をつけない裁判(本人訴訟)の場合は出廷予定者の日程調整が難しく、次回期日が先延ばしになるという問題点がありました。※電話による弁論準備は認められています。
そこで、テレビ会議システムを積極的に利用することで、交通面での負担軽減やより柔軟に期日指定が可能となるので、訴訟期間が短縮されることが予想されています。
国土が日本の25倍ほどもあるアメリカにおいては、裁判出席が当事者等の負担となる場合が少なくないため、このような裁判手続きのIT化が積極的に行われています。

 

日本においてはまだ推進の方針を固めたという段階ですが、いつから手続きの変更が適用されるのかなど、今後も注目していきたいと思います。

委員会活動 ~高齢者・障害者の権利に関する委員会~

2017-07-20

 弁護士の工藤です。 
 先日ご紹介した委員会の中でも、私が特に力を入れて取り組んでいる高齢者・障害者の権利に関する委員会の活動についてを一部ご紹介します。

 先日の記事にも記載の通り、この委員会では高齢者・障がい者が安心して暮らせる社会を目指し活動しています。
 弁護士の業務は“トラブルが起こった際、問題解決に取り組む”というイメージが強いですが、
そのトラブルが起きないよう防止・予防をするための活動も行っています。

 弁護士が当事者(依頼者)の方と初めてお会いするのは【相談】の場面がほとんどであるため、トラブルの予防について弁護士が単体で対応するのは難しい側面があります。
また、当事者の方の中には、トラブルの対処法が分からず問題を一人で抱え込んでしまっている方や、弁護士の存在は知っていても敷居が高い・大げさにしたくないと相談を躊躇しておられる方、
法律事務所まで足を運ぶことが難しいという方も少なくありません。

 このような弁護士と当時者の方との溝を埋めるため、また弁護士だけでなく社会全体で問題を解決していこう・予防していこうという考えから、高齢者・障害者の権利に関する委員会では宮城県社会福祉士会と連携し、互いの専門知識を活かしながらトラブルへの迅速な対応や予防策についての協議、地域の福祉制度のあり方や利用促進の方策の検討、情報の共有などを行っています。
社会福祉士会との協議会は「サポネットみやぎ」という通称(正式名称:宮城県高齢者・障害者権利擁護連携協議会)で、2015年に発足しました。

 サポネットみやぎの活動以外にも、より実効性のある活動につなげるため、高齢者・障害者の権利に関する委員会では福祉施設の見学や、研修会・異業種との協議会も積極的に行っています。
問題を抱えた方、またそのご家族が安心・安定した生活を送れるよう、これからも活動に取り組んでいきたいと思います。

 

 

弁護士会について~委員会活動~

2017-07-06

弁護士の工藤です。
今日は弁護士会との関わり、その取り組みについてご紹介します。

 

弁護士会とは、弁護士で構成する団体のことで、
宮城県には【仙台弁護士会】が設置されています。

弁護士会は、弁護士の指導・連絡・監督・業務支援などの事務を行なう団体で、
会員による法律相談の実施や当番弁護士制度の運営や、社会的な問題に取り組む委員会活動も
行っています。

これら弁護士会の様々な業務のうち、今日は“委員会”についてご紹介します。

 

委員会とは、様々な社会的問題について調査・検討・研究、啓発活動などに取り組む組織で、
仙台の弁護士の場合、複数の委員会に所属していることが多いです。
私が今年度所属している委員会は以下の通りです。

 

■刑事弁護委員会

逮捕されたすべての人を対象として、弁護士派遣の要請があった場合には、弁護士が初回無料で面会に行くという当番弁護士の制度を実施しています。
また、裁判員裁判の運用等について裁判所と協議を行っています。

 

■高齢者・障害者の権利に関する委員会

高齢者・障がい者が安心して暮らせる社会を目指し活動しています。
宮城県社会福祉士会等と連携して高齢者・障がい者虐待の対応・予防のための活動を行い,
また高齢者・障がい者の権利擁護に欠かせない成年後見制度について関係機関と協議等を行い
よりよい制度のあり方や利用促進の方策を検討するなどしています。

 

■犯罪被害者支援特別委員会

犯罪被害者の方が安心して法的支援を受けられるような体制・支援制度の実現に向けて取り組んでいます。具体的には犯罪被害者支援窓口を設置し,犯罪被害者の方やそのご家族からの電話での法律相談を無料で行っています。
また、弁護士会の会員向けの研修会も開催しています。

 

■自死対策プロジェクトチーム

東北大学大学院教育学研究科との共同研究で、弁護士がどのような場合に自死リスク者に接するかの事例研究、対策の検討を行っています。
また、仙台市、大和町、宮城県の各自殺対策連絡協議会へも参加しています。

 

委員会活動では、他事務所の弁護士との関わりをはじめとし、研修会や協議会を通して
他業種との連携も行うため、日頃の単独で行う業務とはまた違った気付きや発見があります。
委員会活動を通し、社会貢献はもちろんのこと様々な社会問題に対して問題意識を高め、
今後も自己研鑽を重ねたいと思います。

 

 

新しい休日制度 ~週休三日制~

2017-06-29

弁護士の工藤です。
今日は週休三日制についてお話しします。

「週休三日制」とは、大企業を中心に導入が増えている新しい休日制度で、
先日宅配大手の佐川急便やヤマト運輸が制度の導入・検討を進めていることで大きな話題となりました。

週休三日制は一般に企業などが週三日の休日を設けることを言いますが、現時点ではまだ厳密な定義はなく、制度の中身も、休日が三日になる代わりに一日の労働時間が増えたり、一日の労働時間に変更はないものの給与が減ったりと企業によって様々です。

制度導入の背景には、長時間労働の抑止や、人材確保、育児や介護などと仕事のバランスを取るワークライフバランスへの関心の高まり、また余暇時間の確保による仕事の生産性の向上などが挙げられます。

休日が増えることについては“結局休日出勤や残業時間が増えるのではないか”という労働者側の懸念の声もあり、実際に週休3日制を導入・実施したところ、休んでいることによりストレスが生じたというフィードバックの事例も報告されました。
現在では、全社員が対象ではなく、一部の社員を対象として実施したり、希望者をその対象とする企業が多いようです。

週休三日制以外にも、労使協定に基づき、労働者が各自の始業時刻と終業時刻を原則として 自由に決められるフレックスタイム制や、一日の勤務時間計8時間のうち一部を在宅勤務にするなど労働者の勤務体系は多様化しています。

週休三日制が週休二日制と同様に定着していくのか、今後も注目したいと思います。

銀行カードローンと破産事件の増加について

2017-06-08

弁護士の工藤です。

河北新報に、銀行カードローンの過剰融資により破産事件が増加しているとの記事が掲載されていました。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201706/20170604_73008.html

2010年6月に改正貸金業法が完全施行され、消費者金融の貸付を原則年収の3分の1以下に制限する「総量規制」が導入されたため、破産事件は減少を続けており、実際に、私が受任する破産事件の数も減少傾向でした。

しかし、昨年から破産事件が増えてきた印象があり、銀行の高額な貸付に対し返済することができず破産するに至ったという事案が多いと実感しています。銀行は「総量規制」の対象外で貸付額に上限がなく、年10%を超える利息で貸し付けているため、なかなか完済できず、借金の額が膨れ上がっていくことが多いです。

全国銀行協会は各銀行に対し、審査の厳格化を求めており、今後、貸付額に上限が設けられることも考えられますが、まずは、借主が銀行カードローンの利用に慎重になることが求められていると思います。

既に銀行カードローン等を利用し、その支払が困難となってしまった場合には、さらに他から借入れをして返済しようとするのではなく、弁護士に債務整理の相談をされることをお勧めします。

 

相続手続は簡単になるのか? 法定相続情報証明制度が始まります

2017-05-29

弁護士の工藤です。

5月29日(月)から、  全国の登記所(法務局)において、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まります。

 現在、相続手続では、相続人を確定するため、亡くなった方(被相続人といいます。)の戸除籍謄本等の束(被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等、相続人全員の戸籍謄本等)を、相続手続を取り扱う各種窓口に提出する必要があります。

例えば、被相続人の遺産に、自宅土地建物、A銀行の預金、B銀行の預金がある場合、それぞれの窓口に戸籍謄本等の束を提出しなければなりません。このとき、あらかじめ戸籍謄本等の束を3部用意することも可能ですが、費用がかかることから、一般的には、1つの窓口に戸籍謄本等の束を提出し、完了したらそれを返してもらい(原本還付といいます。)、次の窓口に提出することが多いです。そうすると、どうしても相続手続に時間がかかってしまいます。

これらの手間を少なくしようとするのが法定相続情報証明制度です。

法定相続情報証明制度は,登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出すと、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。

その後の相続手続は,法定相続情報一覧図の写しを提出すればよく、戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。また、この制度は、不動産の相続登記をしない場合、すなわち、遺産に不動産がなく、預貯金のみという場合でも利用することが可能です。

 
では、相続手続は簡単になるのでしょうか。簡単になる部分もありますが、劇的に改善されたとはいえないと思います。
相続人が兄弟姉妹や甥姪になるような事案では、収集する戸籍謄本等の数が膨大となり、相続手続の際の各種窓口の担当者が、戸籍謄本等のチェックに時間がかかっていたことは確かですので、法定相続情報一覧図を提出すれば、その細かいチェックが不要となり、手続のスピードアップ化につながると思います。
 
しかし、相続手続に提出する書類は、戸籍謄本等だけではありません。例えば、遺言書がない場合、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書を提出することが通常です。そうすると、上の例でいうと、法定相続情報一覧図が3通あれば、3つの窓口に同時提出することが可能ですが、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書は各1部であることが多く、1つの窓口にしか提出することができません。結局、1つの窓口の手続が終わり、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を返してもらってから、別の窓口に提出することになり、同時に相続手続をすることはできないのではないかと思います。
 
また、法務局が実施する制度であるため、不動産の相続登記手続の際に法定相続情報一覧図を使用できることは明らかですが、すべての金融機関で使用できるかどうかは不明です。従前どおり、戸籍謄本等の束を求められることもあるかと思います。
 
もっとも、実際にこの制度が利用されていくことで、より便利な制度へ改善されることも考えられますので、注目していきたいですね。具体的な手続きについては以下の法務省のサイトをご覧ください。http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html